#PR というハッシュタグ

少し前、ネットで見かけて衝撃を受けた話に「勝手に#PRのタグをつける人がいる」というものがある。

#PRのタグといえば、これはなんらかの報酬をもらって投稿していますよという表明の証であり、そこには読者(視聴者)のみなさん、その前提を念頭に置いてくださいねというお断り(リスクヘッジ)の意味合いが含まれている。

結局のところ、私たちは「本当にいいもの」とか「憧れの人が本気で好きなもの」が知りたいわけで、企業からお金をもらって投稿している内容なんて、忖度が入ってる情報だから信用できないんじゃないかと疑ってしまう。だからこそ、あらかじめお断りしておくことで情報の公平性のようなものが守られる。

かつては投稿者たちも#PRタグはなるべくつけたくないと感じていたと思う。リアリティある感じに見せたいし、あの人、広告ばっかりだよねと思われると損だから。だから多くのハッシュタグに紛れ込ませたり、同系色で画像に小さく入れたりする手法を取る人もいた。

しかし時は流れて。今はそういう感覚ってあまりないよなぁと思う。

今の#PRは、たとえばメーカーから商品説明を受けたり、あるいは投稿者がきちんと勉強したりして、いいと実感した内容をリアルに文章にしているというケースも少なくなく、というか今はそれが結構な割合を占めるんじゃないかと思いますが、#PRだから信用ならんという感覚はかなり薄らいでいるように感じる。それに応じて、タグに対する否定的な感覚も殆どなくなっているのではないだろうか?みなさまはいかがでしょうか。

そうなると「勝手に#PRのタグをつける人がいる」というのもすごい納得というか。たとえばルイ・ヴィトンのバッグの投稿に#PRタグがついていたとしたら、それはその投稿者がルイ・ヴィトンにインフルエンサーとして認められているという証明になる。つまり、その投稿者のブランディングに大きく貢献する事態となってしまう。みんながあんなにつけたがらなかったハッシュタグが、ひとつの証明になっているというのがなんとも面白い。面白がっている場合ではなくて、相応しくない人が勝手にハッシュタグをつけるのはブランドにとって損失なのだが、時代が変わると嗜好性も変わるのだなとしみじみしてしまった。

ちなみに美容関係者(ジャーナリストや編集者、ライター)は、メーカーが新商品を出すときに発表会に呼ばれたり、オンラインで説明を受けたりして、それについて詳しく知る機会が与えられるとともに、製品のサンプルを受け取ることが多い。これはギフトとも言えるが、というか物理的にはギフトなのだけど、意味合いとしては資料なのであって、それについて個人的に投稿するとき、それはPRになるのか?というのは、結構難しい問題ではないでしょうか。といつも思っている。ただ買ったものか提供されたものかは明記しないとフェアではないという感覚もあり、私は #提供品 と入れるようにしています。

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