こうなりたいと思う顔

「こうなりたいと思う顔には、ずっと見ていたいと思わせる心地よさがある」と齋藤薫さんがおっしゃっていた(エッセイで)。何を心地よく感じるかは人によって異なるけれども、年齢を重ねるにつれ、どこかに「力が抜けるような余白」があるといいのかもしれないと最近思う。それは癒しみたいな話ではなくて(そうでもいいのだが)、正しさや理想のようなものが描く軌道・規定からはみ出てしまう「人間らしさ」のようなものだ、きっと。そしてそれは、その人がこれまで生きてきた生き様が顔に映るからで、歳を重ねることの醍醐味という気もする。

シワとかシミとかたるみとか、加齢による物理的な顔の変化に対してどう向き合うのかというのももちろん大きなトピックスなのだが、そういうことが気にならなくなるほどの、独特な空気感を持った顔をめざしたい。今の私の顔は笑えないくらいほうれい線やシワやたるみ、ついでにシミも顕著だが、なんとかしたほうがいいのだろうかという気持ちになることもあれば(そしてなんとかしようとアクションしてみることもある)、まあ、こんなの瑣末なことだよなという気持ちになることもある。もう歳だからとか、仕方ないみたいなノリとは違ったベクトルで、後者の選択を能動的にしていくことに憧れがある。

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